学科Ⅰ計画第1回は、建築士法・設計手法についてです。一級建築士になるには、当たり前ですが一級建築士が守らなくてはならない法律を知っていなければなりません。
コンプライアンス : 法令遵守のこと。企業論理等の常識・通念などの社会的な要請に基づく企業規範
名義貸し : 自らの建築士の名前と押印をするが、実際には無資格の者が設計又は監理を行うこと
公益通報 : 公益のために事業者の違反行為を通報すること。(=内部告発)通報先によって内部通報=労務提供先、行政機関への通報、外部通報の3種類ある。
建築士は、建築士法に基づき、設計及び監理に関する業務独占資格を有するため、法律を守り責任を負っている。
・建築士法第2条の2「建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び業務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」
・建築士法第21条の3の要約「建築士は~法律の規定に違反する行為について指示し、相談に応じてはならない。」 建築士自身が違法行為をしてはもちろんいけないですし、施主や施工者などほかの人からの違反行為に関する相談も応じてはいけません。
・建築士法第21条の4「建築士は、建築士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。」
・建築士法第22条「建築士は、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならない。」
以上のように定められている。これらを含め、建築物の建築に関する他の法律に違反したときは、懲戒処分や罰則規定が適用されることも覚えておいてください。
一級建築士資格は国土交通大臣から免許を受け、二級建築士、木造建築士は都道府県知事から免許を受けなければならない。この誰から免許が交付されるのか主語に注意です。
・既存建築物の活用
既存施設を解体し新築するより、改修して使用することを優先するべきである。
・維持管理への配慮
建築物の完成後に適正な維持管理が行われるように計画の初期段階から配慮することが大事
・パッシブデザインとアクティブデザイン
パッシブとは、建築物のデザインによって、建築物内の熱、空気、光を取り入れたり、制御したりすること。つまり設備を使わずに、冷暖房効果や照明換気効果を得ること。
・パッシブヒーティング:1断熱、気密性能を高めることで、熱損失を少なくする。
2太陽熱などの集熱性能3集めた熱を蓄える蓄熱性能の3つが必要
・パッシブクーリング:日除けや断熱による日射遮蔽性能を高め室内の熱気を外へ排出し、通風性能を高め自然の力で冷やすこと
⇔アクティブデザイン:設備的な手法によって自然エネルギーの利用、化石エネルギーの利用低減や高効率を目指すシステムデザインのこと。太陽光発電や風力発電なども含まれる。
〇閉塞感 D/Hで表現(D:距離H:高さ)
〇周辺建物と風
・ビル風(特に高層建築物によって風が回り込み吹く強風のこと。この風害を防ぐには風が吹く方向(発生する方向)に対して受風面(見付面積)を小さくするように設計することが重要。
・風速増加率
建物を建てたことで周囲の風速がどれだけ増加したのかを示すもの。高層建築物を建築する場合。もともと周囲に低層建物がある場合、もともと弱い風速の状態となっているので風速増加率は大きくなる傾向にある。しかし風速増加率が大きいだけであって、風速自体は周囲に建物がないほうが大きい。
2棟の高層建物を並べて配置する場合、2棟の間に発生するビル風は、建物の間隔を狭くすると、風速の増加する領域は狭くなるが、風速増加率は大きくなってしまう。
(⇔間隔を広げると風速増加率は狭くなるが、増加する範囲は広がる)
〇日影
日影規制(一日のうち4時間以上日陰となる範囲)に及ぼす影響は、建築物の高さではなく、東西方向の幅に影響する。建物の高さは日陰の長さが長くなるだけ
・終日日影:建物の配置と平面形状によって、一日中日陰になってしまう部分
その中でも、夏至の日に終日日影となるものは一年中日陰になってしまうため、つまり永久に日影であるため永久日影という
※夏至の日は方角的にも高度的にも日照が当たりやすい。
〇ヒートアイランド
ヒートアイランド(熱の島)現象とは、人間活動によって都市部の気温が周囲より高くなること。都市部が高温で周囲の温度が低いので島状に見えることからこう呼ばれている
高層建築物による風速の弱まり、建物の過密により熱の発散ができないこと、自然が少なく植物からの蒸発散による気温低下がないことなどが原因。
対策としては、屋根面、外壁面の緑化。日射反射率の高い屋根材(高反射性塗料等)を採用するなどがある。