建築士資格の中には、「構造設計一級建築士」「設備設計一級建築士」という資格が存在します。一級建築士のさらに上位の資格となるものがどういった資格なのか話していきます。
構造設計一級建築士・設備設計一級建築士とは
構造設計一級建築士と設備設計一級建築士は、大規模な建物を設計する際に、それぞれ高度な構造設計・設備設計をすることができる資格です。
詳しくいうと、そういった建物を設計する場合、構造/設備設計一級建築士に設計してもらうか、設計したものについて法律に適合しているかを構造/設備設計一級建築士に確認してもらわなければなりません。
関与が義務付けられる建物の規模は
構造/設備設計一級建築士が設計もしくは、確認をしなければならないことを、よく関与という言葉で表現します。
〇構造設計一級建築士
一級建築士が設計しなければならない建物のうち建築基準法第20条第一号又は第二号に該当するもの(建築士法第20条の2第1項)
どうもやんわりしていますので、ざっくり読み解くと。
一級建築士でなければ設計してはならない建物のうち、以下のいずれかのもの ・高さが60mを超えるもの ・木造で高さ13m超えるもの 又は 軒の高さ9mを超えるもの ・鉄骨造で地上4階以上 又は 高さ13m超えるもの 又は 軒の高さが9mを超えるもの ・鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造(併用も含む)で高さ20mを超えるもの ・組積造、補強コンクリートブロック造で地上4階以上のもの ・混構造のもので、地上4階以上のもの 又は 高さが13m超えるもの 又は 軒の高さが9mを超えるもの ・平成19年国土交通省告示第593号に定めるもの
一級建築士でなければ設計できない建物はこちらをご覧ください。
〇設備設計一級建築士が関与しなければならない建物
階数が3以上で床面積の合計が5,000㎡を超える建築物(建築士法第20条の3第1項)
なるためには
構造設計/設備設計一級建築士になるためには、一級建築士になった後、5年以上それぞれ構造設計/設備設計の業務に従事し、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習の課程を修了することでなることができます。
一級建築士になるためにはは、前回の記事をご覧ください。
合格率は
気になる合格率ですが、講習を修了することとされているので、合格率=修了率として公表されています。
構造設計一級建築士は、法適合確認と構造設計の2科目があり、片方のみ修了した場合は、その科目の受講が免除されます。受験区分、年により修了率は前後しますが、総合修了率は30%前後となっています。
設備設計一級建築士は法適合確認と設計製図の2科目あり、こちらも同様に片方のみ修了した場合は、翌年免除されます。こちらも受験区分と都市により大きく前後しますが、総合修了率は40~65%となっています。
まとめ
ここまで構造設計一級建築士と設備設計一級建築士の資格について簡単に話してきました。中規模以上の建物の設計には必ず関与しなければならない両資格のため需要はとてもありますし、真の最上位資格となっています。
資格取得のためには、まず一級建築士の取得が必要ですし、さらに5年間の実務経験が必要となります。そういった専門家受験していることを考慮すると、合格率も低いものだと考えられます。