一級建築士の資格が欲しいけど、予備校に通わなきゃいけないんでしょ?
どの資格学校が良いのか知りたい!
今回は一級建築士の資格学校・予備校の大手総合資格学院・日建学院・TACの3社について、様々な観点から比較していきたいと思います。
先に結論を申します。
資格学校は、三社三様。自分に合った学校をこのページから見つけてください。
一級建築士の勉強について
まず一級建築士とは何か。試験制度については以前書いた記事をご覧いただきたいのですが。
建築士資格の中で最高の資格となっていますため、その試験も難しく、総合合格率は10%前後となっています。
また、合格するための勉強時間も人によりますが、最低でも1年弱、1,000時間以上必要と言われています。
予備校に通うメリット・デメリット
予備校に通うメリットですが、
1 教材・スケジュールを用意してくれるため、自分で教材を集め、スケジュールを立てる必要がない。
2 100万という大金を払うことで、合格しなければというモチベーションに繋がる
3 周りの受講生がいるため、模試で自分の順位がわかる(どのくらい勉強すればいいのかわかる)
4 人に教えてもらう方がわかりやすい
といったことが挙げられます。上記に対して逆にデメリット・反対意見を挙げるとすると
1 学科試験の出題範囲は、過去問と同じ問題、過去問から派生した問題が約8割程度出ると言われている。8割(100点)取れれば合格できるため、過去問を完璧に解けるようにするだけでいい
2 100万は高すぎる。大金を払っても講座に毎週来ない人は一定数いる。
3 公開模試を行っているところがあるため、それだけ参加すればいい。
4 講師、チューターにより当たりはずれがある
といった意見もあります。
一級建築士の資格が絶対に欲しい。資格があれば給料に手当がついていずれ元を取れる。独学じゃ絶対に勉強できない。という人は予備校に通うのがおすすめです!
受講料比較
早速資格学校の比較に移りたいと思います。2023年4月時点での講座情報をまとめました。
今回は、初受験の方を想定しており、学科から製図試験までの一般的なコースを選定いたしました。
総合資格学院が最高の1年で1,375,000円、日建学院が127,000円と百万円越えの中、TACのみ715,000円となっています。
これらに加えて、ゴールデンウィークや直前期に別途有料講座が開催されることがあります。
講座の特徴・教室比較
料金だけでは、何もわかりませんので、各予備校の特徴についてまとめました。
まず、講座スタイルについて。総合資格とTACは、教室の前に講師が立ち講義をしてくれるライブ講義タイプ。
一方日建学院は、学科講座に映像講義を採用しています。これは事前に収録したものを教室で見る形になります。設計製図講座は、この映像講義に加え講師の解説も入るそうです。
もちろん総合資格学院もTACも映像授業の用意があるため、講座を欠席しても映像講義を個別ブースで見ることができます。
講師が前にいる方が集中できるという方は、総合資格とTAC 映像講義がいいという方は、日建学院
次に教室ですが、意外とこれが重要です!
皆さん仕事をされながら土日(ハウスメーカーの方は水曜など)に教室に通うことになります。限られた時間の中で、移動に時間を使うのはもったいないです。
もちろん電車での勉強の方が集中できるという方もいらっしゃるかと思いますが、出来る勉強方法は限られてきます。特に試験前になると、夜遅くまで予備校に残ることになり、帰る時間が遅くなり、睡眠時間が削られていきます。勉強に置いて睡眠は記憶の定着のためにとても重要です。
よって各社のホームページから最寄りの教室を調べてみてください。
総合資格学院は、ほぼ全国にあります。筆者も調べて知ったのですが、青森県、茨城県、鳥取県には教室がありませんでした。県によっては複数教室がありますし、大きな駅の前に設けられていることが多いので、上記の県の方でも、隣県の教室まではアクセスが良いということもあるでしょう。
日建学院は、全国47都道府県に教室があります。ただ、直営の校舎と認定校・公認スクールと違いがあります。
TACは土日によって開校されている教室が異なります。教室数も上2社と比べると大きな街にしかありません。
自宅から通いやすい予備校を選びましょう。
筆者は総合資格学院に4年通い、計300万ほど払ってきました…。周りには日建学院に通った人も多くいましたので、2社のイメージを書いていきます。(TACは少なく掲載できません)
総合資格はとにかく厳しいです。スパルタ!毎週の宿題は結構な量が出ます。毎週の勉強時間も記録し提出させます。毎週の講座の最初に宿題を出さない人、勉強時間が少ない人に対して説教が行われます。
しかし、その反面ホームページにある通り、やり切った受講生は高い合格率が出ています。
総合模試というのは、本番直前の模試です。そこで100点以上取れるならほぼ受かるのは当たり前っちゃ当たり前ですが…。
日建学院はその反面、ゆとりな一面があります。宿題はもちろん出ますが、少しでも提出すると褒めてくれます。製図試験の後、どんな図面を描いたか再度図面を描かせる復元図も日建だと出さなかった人が多いです。
合格率比較
ここが皆さん気になるところではないでしょうか。
各予備校の合格率の比較に行きたいと思います。が、
各予備校は合格率を発表していません。
ホームページを見ると書いてあるじゃないかと思われると思います。まず総合資格から
日本一の合格実績 – 総合資格学院 (shikaku.co.jp)より
合格率57.9%もあるじゃないかと一見思うかもしれませんが、こちら合格占有率となっています。
全国の合格者の中で、ストレート合格(1年で学科試験と製図試験を合格)した人の中で57.9%が総合資格の出身ということです。
学科試験を受かったけど、製図試験を落ちてしまい翌年再度受けた人の割合はわかっていませんし、不合格者も多数いるということです。
この表現はこの数年ずっとされています。推測になますが、合格率が良くなく、生徒数が多いことから、占有率でアピールしたいということがうかがえます。
筆者も実はここの出身ですが、当時の担当者が「総合資格の生徒数を増やして、将来的には占有率を100%に近づけたい。そうすれば総合資格じゃなきゃ受からないというイメージ付けができる。」といった旨の発言をされていました。
次に日建学院を見ていきましょう。
合格実績|1級建築士を目指すなら日建学院 (ksknet.co.jp)より
こちらは、過去30年の一級建築士合格者の総数でアピールされています。右下はこちらも合格占有率です。
過去30年も括らなければ、アピールできることがないのではないかと疑ってしまいますね。
最後にTACですが、こちらは合格率、合格占有率の発表はなく、合格者の声のみとなっております。
建築士|合格者の声|資格の学校TAC[タック] (tac-school.co.jp)
合格率や合格占有率が高ければアピールしたいはずなのに、しないということはそういうことでしょうか。
3社合格率の発表は無し!
これは余談になります。なぜ大手2社の総合資格と日建学院は合格率を出せないのかについて筆者の考えを述べます。
筆者の手元にデータがある令和3年度になりますが、最終合格に関わる設計製図試験の合格者は全体で3,765人でした。総合資格学院の合格者は1,986人、日建学院は1407人で2社の合計が3,393人と、この2社の占有率は90%となります。
もちろん合格率が90%はありません。筆者が通っていた教室での体感になってしまいますが、短期コースで良くて4割、長期コースで5割の合格者が出たとすると、2社の受験者数は7,000人ほどいたことになります。
製図試験の合格率は毎年一定で、近年35%です。よって近年10,000人の受験者がいますので、合格できる人数は3500人程度ということがわかっています。
つまり、設計製図試験を受ける前から、各社自分のところの受講生全員を受からせられることはできないことがわかっているのです。
もちろんTACやその他予備校、通信、オンライン講座などの受験生もいるので、合格率はよくて40%越えぐらいでしょうか。
全国の合格率が35%の中、「うちの合格率は40%ですよ!」とアピールしてもあまり良くないように思われてしまいます。よって各社合格率を伏せ、合格占有率で争っているのだと思われます。
まとめ
こんなひとにはこの予備校!
これまで、様々な点から3社を比較してきました。まとめとして各社におすすめの人を挙げていきます。
大前提として、自宅から最寄りの予備校・教室を候補にするべきです。
総合資格学院
- 高い授業料を払ってでも一級建築士を取りたい方。
- ライブ講義でないと集中できない方。
- 講師に勉強量を管理されないと勉強できない方
日建学院
- 高い授業料を払ってでも一級建築士を取りたい方。
- 映像講義でも構わない方
- 厳しいことを言われたくない方
TAC
- 年間100万円までは出せなく、費用を抑えたい方。
- 自宅から近いところに教室がある方
上記のどれにも当てはまらない方
- とにかく費用を抑えたい方、資格取得が必須ではない方→ 独学
- どの教室も遠く1時間以上かかってしまう方→ 独学orオンライン、通信講座
をお勧めします。
とにかく費用を抑えるのは大事なことです。しかし時間もとても重要です。独学や通信講座で何年も合格できなかった人も知っています。2,3年予備校に通ったけど受からず受験をあきらめてしまった人もいます。
何年も勉強するということは、何年もの間土日がつぶれてしまうということです。
多少のお金をかけてでも短い期間で取ってしまうというのもいいのかもしれません。
さいごに
これまでどの予備校がいいのかについて話してきましたが、一番大事なことは自分自身です。自分がどれだけ勉強できるかです。
効率良く予備校に教材とスケジュールを用意してもらったとしても、学科試験では週に30時間以上。製図試験では週に35時間以上勉強するのは自分自身です。予備校行けば勉強時間が減ることはありません。
独学の場合勉強効率が劣るので、それ以上勉強しなければなりません。
予備校や各種講座はあくまで勉強のサポートでしかありません。どこに行けば受かるかの前に、最低でも1年間は勉強に生活をささげる覚悟をしてください。
筆者は、当ブログやツイッターなどを通して、受験生を応援しております。
ここまで見てくださりありがとうございました。