構造第1回
学科Ⅳ構造を始めます。こちらは苦手とする人が多い印象の科目でもありますが、法規と並ぶ最大配点の30点科目ですし、構造力学は時代とか法律によって大きく変わるものでもないので、得点源にしていただきたい科目です。
構造力学と聞くと、大学時代にやったっきりの人もいるかと思います。新卒に近いと有利なのかな。
基本事項
まず単位から
国際単位系(SI単位)を使用しますので、力の大きさをニュートン(記号:N)で表します。
だいたい1kNが100キログラムのイメージでいいのですが、1kN≒102kgf、1kgf≒9.81Nとなっています。
次に力の要素。
力は表現する際ベクトル(矢印)で表します。
回転を生じさせる力・作用をモーメントと呼びます。
モーメントですが、時計回りを正、反時計回りを負として表現するのが基本です。モーメントは、曲げる力そのものの場合(記号:M)と、上記で言うと点Oに対して、力Pが発生させるモーメント(P×L)の2種類があります。力の作用する線上に点Oがある場合はL=0で、モーメントはゼロになります。(構造力学でむちゃ使う考えなので重要です。)
大きさが同じかつ並行で、方向が異なる力を偶力といいます。
上の場合の点Oまわりのモーメントは、M=PL1+PL2で、L1+L2=Lなので、M=PLとなります。
これ何が言いたいかっていうと、点Oの位置を変えても、M=PLは変わらないということです。あとこのモーメントを偶力モーメントと呼びます。
転倒モーメント(よく出題されます。)
上の絵のように、滑らないと仮定された面の上に物体があります。横から力Fを加えます。最初は物体の重さWがあるため動きませんが、徐々に力を大きくしていくとあるところで右の絵のように転倒します。この時の力Fによる点A周りのモーメントMfとそれに抵抗する重さWによるMwの比を求めさせられたりします。
力の合成・分解
ある2つの力を1つの力に合成することができます。P1,P2の2つの力があった場合、その二つで平行四辺形を作るようにすると合成した力Pとなります。
この逆が力の分解です。1つの力PをPxとPyに分解できます。もちろん自由な角度に分解できますが、試験対策としては、X方向とY方向に分解します。ラーメン構造やトラス構造の問題でよく使用する基本知識です。
反力・節点
まだまだ基礎知識編です。
これから構造力学とかの問題を解く上での重要な基礎になります。
支点と反力
建築物を支える基礎なんかをイメージしてください。それを構造力学用に図で表現します。それが下に紹介する3つです。
まず1固定支持から。柱の根元ががっつり固められているイメージです。そのため上下の力(垂直力V)、左右の力(水平力H)、曲げモーメントMすべての反力を生じます。
2ピン支持は、固定支持の根元に〇印が描かれています。これは曲げモーメントの反力がないということです。曲げる力を加えても、回転してしまうようなイメージです。よって反力はVとHのみ。
3ローラー支持はピン支持に△と_が描かれています。これはローラーの上にピン支持を乗せたようなもので、水平力を加えると、横にすーっと移動してしまうものです。よって反力は鉛直力Vのみになります。
同様に柱梁の接合部のような節点にも表現があります。
こちらは2種類。曲げモーメントを伝達しないピン節とがっちり固まってる剛接
静定・不静定構造
覚えるものの割には、他で使わないし、そこそこ出題される個人的に嫌な範囲です。いろんな構造物を様々な呼び名で分類するっちゅう話です。
不安定構造物:力を加えると崩壊する・移動するといったもの
安定構造物:力を加えても静止しており、釣り合っているもの
この安定構造物も2つに分けられます。
静定構造物:力の釣り合い条件から反力、応力を求められるもの(具体的な計算は後の単元で)
不静定構造物:力と変形も考慮しないと解けないもの
と4つの構造物を紹介しました。実際の試験では、構造物の絵が出されて、なに構造か答えられるようにならなければなりません。
その判別式というものがこちら
m=(n+s+r)-2k n:反力数 s:部材数 r:剛節接合部材数 k:節点数 m=0 静定構造物 m>0 不静定構造物 この時のmは不静定次数 m<0 不安定構造物
いっきに難しくなりましたね。
剛節接合部材数はこちら
ここでややこしいポイントが、剛接接合部材数は、節点の部材数から1引いた数となります。もちろんピン節はカウントしませんので、一番左で言うと、4つの部材が集まっているので1引いて3となります。
なんのこっちゃわからないと思うので、実際の問題に出るような絵はこんな感じです。
ちなみに先述した不安定構造物ってどんなやねんと思うかもしれません。上記の不安定構造物を横から力を加えると下みたいに滑り、崩壊してしまうから不安定なんです。
今回のまとめ
構造力学の基本を紹介しました。前半はこれらの知識を使って後の問題を解いていきます。最後の静定・不静定の判定問題は実際の試験問題に直結する内容なので、過去問を解いて身に着けてみてください。